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August 05, 2006

●Bill Evans: You Must Believe in Spring

BillEvans_youmust.jpg

Bill Evans (p)
Eddie Gomez (b)
Eliot Zigmund (ds)

 思いがけず、ビル・エバンスで引っ張ってしまったが、とりあえず本作の紹介で一段落としたい。
ビル・エバンス・トリオのベーシストでは、まず名前が上がってくるのはスコット・ラファロ、そして次がチャック・イスラエルであろう。本作は、この二人と同様、ビルにとっても重要なベーシストとして、晩年近く一緒に演奏をしていたエディ・ゴメスが参加した最後の作品。

 スコットとのトリオがまさしくインタープレイを中心にすえたものとすれば、ここでのビルの演奏はまさしくリリシズムを究極に追い求めたものといってよい。ビルへのトリビュートとして紹介したギター演奏との対比で考えれば、ラリーとミロスラフの演奏はインタープレイ的要素にスポットライトを当てた『Walts for Debby』からの流れを受け(トリオ演奏からの影響という枠をはずせば、ジム・ホールなどが参加した,タイトルもそのものズバリの『Interplay』からの流れというのがより正確かもしれない)たものであるのに対し、ジョンの演奏は本作を支配しているリリシズムを継承していると強く感じる。

 このアルバムを録音した前年には愛妻のエレーヌを失い、またこの年には兄ハリーが自殺するなど、悲しい出来事が続いたビルの弾くピアノは悲しいほどに美しい。ビルのようなリリカルな部分を強調すると、ピンと張り詰めた緊張感と透明感を前に押し出すような演奏が多くなる。しかし、このアルバムでの演奏は、インタープレイ的な緊迫感を排し、すべての音が自ら調和を求めてあふれ出ながら、温かさに満ちている。愛おしさにあふれたピアノをとくとご堪能あれ。

コメント

了解です!
早速手配します。

>純之助さん
いらっしゃいませ。
ビル・エバンスがお気に入りなのですね。

彼自身の音楽が素晴らしいのはもちろんですが、他のプレイヤーに与えた影響の大きさに、いまさらながら驚かされます。
ジャズ以外のアーティストも、「ビルはフェイヴァリット」という人のなんと多いことか!

今回は続けて紹介しましたが、またほとぼりが冷めたら(?!)他のアルバムも取り上げたいと思っていますので、ご期待ください。

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