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May 31, 2007

●James Taylor: Mud Slide Slim And The Blue Horizon

JamesTaylor_Mud.jpg

James Taylor (vo, g, p)
Russ Kunkel (ds, per)
Leland Sklar (b)
Carole King (p, chorus)
Danny Kootch (g, per)
Peter Asher (produce, per, chorus)
Joni Mitchell (chorus)
Kevin Kelly (accordian, p)
John Hartfor (banjo)
Richard Greene (fiddle)
Kate Taylor (chorus)

ジェイムス・テイラーの音楽に最初に接したのは中学生のときだった。CSN&Yの紹介でも触れたが、中学のときに通っていたギター教室で取り上げたのがきっかけである。スリーフィンガー奏法を徐々にマスターしてきたこともあり、「これで大抵のフォーク曲は弾けるだろう」と思い上がっていたころでもあった。

教室で習う順番からすると、スリーフィンガーはアルペジオ奏法よりも若干高度なテクニックと感じていたため、ジェイムスの譜面をもらったときに最初に思ったのは、「なんだぁ、アルペジオかぁ」ということだった。

ところがどうしてどうして、弾いてみると単純なアルペジオではなく、なかなか上手くできない。それまでの定型パターンのものとは違い、メロディやコード進行に併せて、実に効果的なオカズが入っているのだ。彼の曲を何曲か練習していくにしたがい、入れているオカズのフレーズは比較的手癖のようなものだと気付くのだが、それはずいぶん後になってからだった。

歌伴のギターとしては、今なお最高峰の演奏だと信じてやまない。歌とよく絡みつつでしゃばりすぎつ、かといってちゃんと存在感もある、こんなギターを弾くことができる人は滅多にいないだろう。
カントリー的な要素とジャジーな雰囲気とブルースの香りも感じるギタープレイは、今聴いてもとても新鮮だ。

当時、愛用していたのはギブソンのJ-50というモデル。ギブソンのアコースティック・ギターはかなり個体差が大きいこともあるが、私自身、何本か試奏したことはあるものの、ジェイムスのような音のものには一度たりとも出会ったことがない。あの独特の音は、ギターそのものというよりも彼のプレイによるところが大きいような気がする。

東海岸ボストン生まれのジェイムスは、1968年に最初のソロ名義のアルバムを、ビートルズのアップルレコードレーベルからリリースする。専門家の間では注目されたものの、商業的にはまったく振るわず、失意のままプロデューサーのピーター・アッシャー(本アルバムでもプロデュースをしている)とともにアメリカに戻り、カリフォルニアに拠点を置いて活動をおこなっていく。

1970年にリリースした2作目『Sweet Baby James』(これはいずれ別途紹介したい)で成功を収め、瞬く間にシンガーソングライターとしての地位を確立する。メッセージ性の強いプロテスト・ソングを歌っていたピート・シーガーやボブ・ディランなどとは一線を画し、日常的なことや恋愛などを繊細に歌い上げるシンガーソングライターは?というと、真っ先にあがるのがジェイムスだろう。

本作は1971年に発表した第3作。楽曲の構成、バリエーションともに素晴らしく、大変聴き応えがある。ギターや歌、コーラスなどを分析していくと、勉強になる点も多いが、そんなことを意識せず、音楽にどっぷりと浸かるのが最高の楽しみ方だろう。

初期から最新のものまで、音楽のスタイルにいろいろと変化はあるものの、駄作がなくどれをとっても素晴らしいものとなっている。初めて聴いても、なんとなくなつかしい香りがし、それでいて飽きさせないものがある。これこそがジェイムスのマジックなのかもしれない。

現在も変わらぬ歌声で、ライブも含めた活動を積極的におこなっている。日本のギタリストやシンガーソングライターが、彼の影響を強く受けたと語っているのが多いのもうなづける。

コメント

ジェームス・テイラーは自分もまた心の師匠の一人とさせていただいておるところです。
ただ、ただ聴いております。ええなぁぁ。。

>TOMさん
いらっしゃいませ。
コメントありがとうございます。気ままに書いているだけですが、取り上げたアルバムやアーティストに想い出などもありましたら、どんどん書き込んでいただけると嬉しいです。

本当にジェイムス・テイラーはいいですよね。聴いているだけで、気持ちがスーッと癒されていきます。

それでいてギターも上手いし。
今でも、時折コピーをチョロっとしています。

こんにちは~お邪魔します~。
いつも楽しく拝見させていただいております。

以前からとても興味のあったKenOyaGuitarの音を
聞くことが出来ると、プログのトップのNEWSに
書いておられました伊藤賢一さんのCDを購入しました。

楽曲は素晴らしく気に入りました、特にKenOyaGuitarの
音がとっても美しく素敵なアコースティックサウンドでした。
良いCDに出会えました、ありがとうございました。

KenOyaGuitarは凄く人気で注文が多くオーダーは
3年待ち・・・というお話も頷けますネ。
自分もいつか作って頂きたいと思いました。(*^-^*)

ジェイムス・テイラーさんの話題に関係ないので
不適切でしたらスミマセン削除してくださいマセ。m(_ _)m

>simoさん
いらっしゃいませ。

こちらをご覧いただいているとのこと、ありがとうございます。立ち上げ当初は、更新のペースもよかったのですが、最近は滞りがちです。

気の向いたときに、気の向くままに書いておりますので、これからも気長にお付き合いいただければ幸いです。

伊藤さんのCDを気に入っていただけてようで何よりです。何度かレコーディングの現場にもお邪魔しましたが、本当に素晴らしい演奏をされていました。

愛用していただいている楽器は、完成してからしばらくは手元に置いて、状態の変化を見ていましたが、やはり、プロの方に弾き込んでいただくことによって、引き出されてくる音が大きく変わったことを体験できたのも大きな収穫でした。

製作ペースが上がらないため、現在はオーダーを受け付けておりませんが、また何かのご縁がありましたらよろしくお願いいたします。

ジェイムス・テイラーは、今やアメリカを代表するポップスシンガーですね。
"Sweet Baby James"、"Mud Slide Slim" の音は、当時実に新鮮でした。複雑にシンコペートするベースラインとフィルインだけでもマネするのはたいへんでした。
ジェイムス・テイラー自身の繊細でこわれそうな雰囲気(実際に精神病院にいたこともあるんでしたね)とぴたりと合った曲と詞──、キャロル・キング、ジョニ・ミッチェルなど、似た指向の女性シンガーソングライターがまわりにいたことも彼にとってラッキーなことでした。

ギターの演奏で言えば、ジェイムス自身のギターももちろん素晴しいのですが、歌に寄り添うようなダニー・クーチのギターも最高でした。
バックを固めるラス・カンクルとリー・スクラーも過不足でタイトな演奏でした。

ギターそのものは、このアルバム当時前後はギブスンJ-50でしたね。日本公演のステージ写真で、バーカスベリーのコンタクトピックアップをブリッジに貼り付けてサウンドホールをガムテープでふさいでいたのが印象的でした。
その後、ホワイトブックやヤマハを経て、今はジェイムス・オルスンをメインに弾いています。どのギターでもあの個性的なタッチは健在でした(ただ、生のギターの音というよりもピックアップからの音を加工したものでしたが)。

サポートメンバーでは、リー・スクラーも好きですが、今のベーシスト、ジミー・ジョンスンが好きです。笠井紀美子のバックで来日したりもしてました。アラン・ホールズワースとも共演したりしてましたね。猛烈なテクニシャンであるジミーがジェイムスのバックを務めているというのも贅沢──。

>Nozomiさん
いらっしゃいませ。

ジェイムスのサポートメンバーはいずれも本当に素晴らしいですね。でしゃばって邪魔をするでなく、かといってちゃんと存在感もある、本当に勘所を押さえたものだと思います。

ギターを含めた機材面でも、話題の多いプレイヤーですね。J-50をあんな音で鳴らす人は他に聞いたことがありません。
Gibsonのギターのバラツキが大きいこともありますが、数多くの人がジェイムスの音に憧れてJ-50を手にしていますが、やっぱりあの音は出ませんね。

以前調べたところ、Mark Whitebookはジョン・マクラフリンに紹介してもらったとのことでした。自作の『One Man Dog』では、ジョンの曲が入っていますが、ここでジョンはホワイトブックを弾いていますね。

James OlsonはHighlanderのピックアップの音の印象がくっついて回りますが、ジェイムスが彼のギターを一躍有名にしました。

ジェイムス・テイラー好きの某ミュージシャン(日本人です)が、「ぜひとも」といって、自分のOlsonにHighlanderのピックアップを直接James Olsonに仕込んでもらったそうですが、製作家の間で流れているうわさでは、Jamesは「ピックアップなんて、誰が仕込んでも同じだよぁ・・・」とブツブツいいながら作業をしていたとか。

ジェイムスのバックには、ピアノ の Don Glornik もいたんですよね。いつ入ってきたのかわからないようなさりげないバッキングを聞かせてくれました。

ジェイムス自身のギタープレイについては、常にジャストなリズムのイメージがあります。だから個人的には "Steamroller" のような曲には違和感があります。こういう雰囲気は、やはり Ry Cooder とか Mark Knopfler でしょうか。

Whitebook がジョン・マクラフリンからのルートでというのは知りませんでした。"One Man Dog" でのマクラフリンのプレイには当時たいへんびっくりしたものでした。あの音が Whitebook だったのですね。Gibson だとばかり思っていましたが……。


>Nozomiさん
いらっしゃいませ。

マクラフリンとホワイトブックというのは、イメージがつながらなかったので私も意外でした。

『One Man Dog』では、マクラフリンの"Someone"だけ、使っているギターのメーカーが書いてあり、ジェイムスはギブソン、ダニー・クーチはマーティン、ジョンはホワイトブックとあります。

歌のバックのときは比較的おとなしかったジョンが、間奏のソロになると怪しい雰囲気の独自色を炸裂させているのが面白いですね。

『One Man Dog』が1972年リリースで、ジョン自身の全編アコースティック・ギターによるアルバム、『My Goals Beyond』が1970年リリースですから、不思議なことは無いはずなのですが、ジョンのこのアルバムを聴いたのはずっと後になってから・・・。

> 『One Man Dog』では、マクラフリンの"Someone"だけ、使っているギターのメーカーが書いてあり、ジェイムスはギブソン、ダニー・クーチはマーティン、ジョンはホワイトブックとあります。

ほんとだ……。気づいてませんでした。
音色の差はあるようですが、ギターの違いというよりピッキングタッチの違いでしょうね。
マーティンとホワイトブックがそれほど違うとも思えないし……。

こんなことを書いてると、ジェイムス・テイラーを聞きたくなって、最近出ていた(去年かな?)クリスマスアルバムを聞いています。
ほんとにカッコイイですね。変わらない雰囲気のジェイムスですが、やはり『マッドスライド』のころと聞き比べると進歩しています。
バックの音も洗練されたものになっていますね。

>Nozomiさん
いらっしゃいませ。

ジョンは歌の間は控えめに弾いているものの、間奏になると自分の世界に入り、曲の雰囲気がガラッと変わっているのがおかしいです。

新しいジェイムスも本当にいいです。ただ、ライブなどではピックアップのキャラクターが強すぎて、Olsonギターの音がきちんと伝わってこないのが残念です。

Nozomiさんのご友人Kさんの持っていたOlsonギターは、これまで弾いたギターの中でもトップクラスの素晴らしい音色でした。「これならジェイムスをはじめとするプロが愛用するのもうなづける」と思ったものでした。

はじめまして。James Taylorが好きなもので、つい書き込みしたくなりました。
Jamesの映像作品はかつてLDであり、昨年DVDも出ましたが、ご覧になりましたか。
と、言うのも彼のAmの押さえ方が、ちょっと変なことに気づきました。こんな単純なローコードなのに指使いが違うんですよ。

>3gatudoさん
いらっしゃいませ。
Jamesのギターと歌、本当にいいですよね。新しいDVDはまだチェックしていませんが、早く手に入れなければと思っています。

Amはどうだったか忘れましたが、ローコードのAは独特の押さえ方(2弦を薬指、3弦を人差し指、4弦を中指)でした。

この押さえ方だと彼独特のハンマリングオンヤプリングオフの音がきれいに出ますね。

なかなか更新できずにいますが、今後ともよろしくお付き合いください。

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