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July 13, 2006

●Steve Eliovson: Dawn Dance

SteveEliovson_dawn.jpg

Steve Eliovson (g)
Collin Walcott (per)

 彗星のように現れて、素晴らしいアルバムを残したかと思うと、忽然と音楽シーンから姿を消してしまったアーティストもおおぜいいる。ここで紹介するスティーヴ・エリオヴソンもその一人であろう。

 21歳からギターを始めた彼が、このアルバムを録音したのは28歳のとき。わずか7年でこのレベルの演奏に到達したということから、相当ギターののめりこんでいたことは想像に難くない。
 たびたび取り上げているが、このアルバムもドイツのECMレーベルからのリリース。スティーヴは録音する1年前に、直接マンフレート・アイヒャーにデモテープを送ったところ、無名のギタリストの素晴らしい演奏にビックリしたマンフレートはスティーヴに直接会ってすぐさま、レコーディングをおこなうことを決めたという。

 南アフリカ生まれのスティーヴはギターを始めてからしばらくしてアメリカに渡っているが、2年ほどで再び母国へと戻っている。その後、ジャズやインド音楽などにも一時期傾倒していた。確かに、このアルバムでの演奏からはインド音楽の影響を、うまく昇華した形で自分の音楽を作り上げていることが伝わってくる。民族音楽への造詣が深いオレゴンののパーカッションとして活躍していたコリン・ウォルコットをサポートとして迎えているのも非常に当たっている。
 オレゴンではギターのラルフ・タウナーとともにダブル・フロント的な位置でかなりフィーチャーされた演奏をしているコリンだが、ここではあくまでもスティーヴのサポートという位置づけ。前に出すぎることなく、かといってしっかり存在感のある絶妙なプレイである。

 スティーヴのギターは、ジャズ・テイストが随所に顔を出しているものの、上述のインド音楽や、ウィンダム・ヒルレーベルのウィリアム・アッカーマンの初期の演奏とも共通するような畳み掛けるようなフレーズが徐々に展開をしていくようなニューエイジ的な構成など、それまでのECMレーベルのギタリストとは、少し違う傾向を持っている。曲の展開にはアフリカ音楽的な要素もそこはかとなく感じることができるが、比較的プリミティブな音の楽器を用いることが多いアフリカの音楽に対して、彼の弾くギターの音はやはりヨーロッパのもの。ヨーロッパ、アメリカの音楽をベースとしつつもアフリカや南アジアの影響もしっかり感じさせるところが興味深い。

 ECMレーベルはアーティストとの関係を長期間にわたって作り上げていくことを考えると、1作だけで関係を終わらせてしまったスティーヴのケースは極めて珍しいことであろう。これだけレベルの高いものを作り上げながら、わずか1作だけで、音楽の世界からすっかり姿を消してしまったのは残念至極である。いつの日かまた、素晴らしい演奏を聞かせてくれるのを心待ちにしたい。

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