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May 29, 2006

●Stephen Bishop: Careless

StephenBishop_careless.jpg

Stephen Bishop (vo, g, tb)
Andrew Gold (g)
Eric Clapton (g)
Lee Ritenour (g)
Larry Carlton (g)
Reinie Press (b)
Barlow Jarvis (key, p)
Larry Brown (ds)
Chaka Khan (chorus)
Art Garfunkel (chorus)


 サイモン&ガーファンクルを聴くようになったとき、彼らはすでに解散していてそれぞれのソロアルバムを発表していた。ちょうどアート・ガーファンクルがリリースした『愛への旅立ち』の中の何曲かが、とても印象に残った。その一つを作詞・作曲したのがスティーヴン・ビショップ(ステファン・ビショップ)だった。アートのアルバムに楽曲を取り上げてもらったことが縁で、スティーヴンは自身のアルバム製作にこぎつけ、発表したのが本作である。

 この時代、AOR(Adult Oriented Rock-日本だけの呼び方なので、アメリカに行ってAORといってもまったく通じない)と呼ばれる、都会的でおしゃれな雰囲気のあるポップスがはやり始めていた。時代的には多少の前後はあるものの、ボビー・コールドウェルや、それまでのブルースをルーツにしたハード路線から若干軌道修正をしていたボズ・スキャッグス、クリストファー・クロスやマイケル・フランクスなどが、このブームに乗って脚光を浴びるようになっていた。

 ソングライターとしてのスティーヴンの才は、本作に収録されている作品を、前述のアートのみならず、フィービ・スノウやケニー・ランキン、バーバラ・ストライザンドなどがカバーしていることからもうかがい知ることができる。レコーディングに参加したミュージシャンもそうそうたる面子で、当時、売り出し始めた新人のシンガーソングライターへのサポートとしては、ビックリさせられるほどのものだ。結局、このアルバムからはシングルヒットも出、グラミー賞にノミネートされるなど高い評価を得るようになった。その後、立て続けにアルバムを数枚発表した後、『アニマル・ハウス』、『チャイナ・シンドローム』等をはじめ、映画音楽も手がけるようになり、コンポーザーとしての評判も高めていった。映画そのものにも出演するケースもどんどんと増えていった。
 自身の音楽としては、90年代に1枚、2000年以降にも1枚と、ペースは落としているものの、活動自体は続いている。

 都会的で、独特のウィットを持ちながら、どことなくほろ苦いような感傷を感じさせるスティーヴンの世界。70年代終わりから80年代の初めにかけて自分の過ごした時代と、オーバーラップしてはいろいろな想い出が頭の中に浮かんでくる。

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