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April 14, 2006

●Return To Forever: Romantic Warrior

RTF_romantic.jpg

Chick Corea (p, key, per)
Stanley Clarke (b, per)
Lenny White (ds, per)
Al Di Meola (g, per)

 中学、高校と音楽にどっぷり浸かっていたが、当時の情報源は雑誌とFMラジオ。雑誌はミーハー指向のものを除けばほとんど目を通し、"超絶テクニックのギター"などという文字があろうものならば、「何としてでも聴かなければ」と思ったものである。そんな状況だったので、「バカテクのギタリスト」として脚光を浴びつつあったディメオラがアンテナに引っかかったのも当然の成り行きだった。ディメオラのソロアルバムもいいものがいくつかあるが、ソロ活動前の演奏を追っかけていってたどり着いたのが、チック・コリア率いるリターン・トゥ・フォーエヴァー(RTF)である。

 本作は、後期RTFの最高傑作といってもいい。ネヴィル・ポッターの詩にインスパイアされ、アルバムをトータル構成したもので、確かにストーリー性が感じられる曲展開である。4人が4人ともテクニック抜群で、遊び心にもあふれた演奏は、理屈抜きで楽しめるだろう。レニー・ホワイトのドラムスとディメオラのギターがかなりロック色を濃くしている一方、スタンリー・クラークは時折アコースティック・ベースのアルコ(クラシックのように弓を使っうこと)奏法を交え、”中世の騎士”というイメージに繋げているのも面白い。チック、ディメオラ、スタンリーがいずれもアコースティック楽器を演奏していながら、曲としてはエレクトリックのイメージを感じさせるのは、RTFというトータルユニットの持つマジックかもしれない。

 ディメオラは1979年のライブ・アンダー・ザ・スカイでチック・コリアのバンドメンバーとして初来日をするのだが、必死の思いでチケットを手に入れ、会場の田園コロシアムに出かけた。RTFの再構成に近い、このときの来日メンバーはチック・コリア(key)、アル・ディメオラ(g)、バーニー・ブルネル(b)、トニー・ウィリアムス(ds)という豪華な顔ぶれ。ディメオラ目当ての観客が多かったせいもあってか、彼のアコースティック・ギターソロのコーナーでは、ワンフレーズひいてはワァーという歓声が上がり、演奏としては期待していたほどではなかったのが残念だった。メンバーで一番光っていたのはバーニー・ブルネル。フレットレス・ペースでハーモニックスを多用する奏法には度肝を抜かれた。当時、フレットレス・ベースといえばジャコ・パストリアスというイメージが強かったが、まったく違うスタイルで、「すごい!!」と思わせるユニークさがバーニーにはあった。自分が知らないプレイヤーでも、すごい人がごろごろしているんだなぁと思いながら家に帰ったのをよく覚えている。

 後期RTFのコンセプトは、その後、チック・コリア・エレクトリック・バンドへと繋がっていくものだが、よりロック色の濃いRTFの演奏は、今聞いてもまったく色あせていないのがすばらしい。

コメント

オオヤさん
ごぶさたしております。ブログの開設おめでとうございます。お得意の分野のご紹介、素晴らしいことですね。きっと多くのオオヤファンが
できることと思います。さっそくお気に入りに
リンクさせていただきます。ブログで紹介させていただきます。ではまた。

初めて来ました。
このアルバムは僕も大好きです!
島田荘司の「異邦の騎士」という本に感動したのがきっかけでした。久しぶりに読み返してみようかな・・・

また度々覗かせてもらいます!

>グランパさん
いらっしゃいませ。
さっそくそちらのブログでもご紹介いただき、ありがとうございます。いい音楽は色あせないと思っています。せっかくなので、すばらしいものを大勢の方と共有できるようになれば嬉しいですね。

>伊藤賢一さん
いらっしゃいませ。
残念ながらその本のことは知りませんでしたが、このアルバムへと繋がる内容があるのですね。
入れ込んで読んだ本だと、その中に出てくる音楽に関する印象的な記述があると、「どんな音楽なんだろうか」と実際に聴いてみたくなります。それまで知らなかったいいものに触れる大きなチャンスですね。

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